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想像力が無いのは、教えて来なかった教師が悪い。:未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II [自己啓発]


未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II

未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II

  • 作者: ティナ・シーリグ
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2012/05/31
  • メディア: 単行本



 「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」の続編。
スタンフォード大学でクリエイティビティを教えている筆者が、クリエイティブに行動するためのTipsをわかりやすくまとめてくれた内容だ。

 本書の内容は素晴らしく、本書を読めばどんな職業(専業主婦や公務員ですら)クリエイティブに行動したくなるだろうし、実際にクリエイティブな成果を上げることが出来るだろう。内容も簡単で読みやすいので、幅広い人にお薦めできる内容だ。

 そんな素晴らしい本を読んで私が思ったのは、クリエイティビティは教育によって獲得できると考える米国とクリエイティビティは素質であり教えることも教わることも出来ないと思っている我が国の教育の差は絶望的なまでに開いているのではないかということ。米国でもスタンフォードはレベルが高くすべての学校でそうした内容を学べるわけではないかもしれない。しかし、たった一校でもクリエイティビティを教える学校があればそこの卒業生が時間をおいて他校でも教えるようになり、いずれは全国でクリエイティビティを学べるようになる。翻って、日本ではそうした授業はあるのだろうか?少なくとも私が卒業した京都大では見かけなかったし、社会人になって長いが、そんな授業を受けたという人の話も聞いたことがない。
【目次】
はじめに アイデアは安いのではない……タダなのだ

第1章 革命を起こす
リフレーミングで視点を変えよ

第2章 蜂を招き入れる
多様なインプットが革新を生む

第3章 積み上げ、積み上げ、積み上げ、ジャンプ!
アイデアは永遠に止まらない波

第4章 忘れられた顧客カード
観察力を発揮していますか?

第5章 机の王国
クリエイティブな空間がクリエイティブな仕事を生む

第6章 ココナッツを思い出す
プレッシャーをアイデアの触媒にする

第7章 猫のエサを動かす
フィードバックはゲーミフィケーションで

第8章 てっぺんのマシュマロ
チームがはまる落とし穴

第9章 早く動く、突き破る
失敗は正しくやり直すチャンスだ

第10章 魔法の靴を履く人、履かない人
できると思ったらできる

第11章 内から外、外から内へ

感謝の言葉


 クリエイティビティが社会の生産性で重要な役割を負っていることは間違いないし、近年、その重要性はますます高まっているといえるだろう。大きな所ではアップルコンピュータはクリエイティビティの力でSONYやPanasonicを圧倒している。また、小さな所でも、部下が想像力を働かせて常に業務を改善する会社と言われたことだけは完ぺきにこなす会社ではどちらの生産性が高くなるかは自明のことだろう。

 もちろん日本でもクリエイティビティの重要性は理解されている。経済評論家は想像力がヒット商品生産の鍵であることをさんざん語っている。

 それでも日本の教育ではクリエイティビティが教えられることはないし、素質と経験で創造性を獲得するのが当たり前だという世間の認識は変わりそうにない。こうした状況が続けば、私の子供が大学生になる20年近く後には、日本の大学で学ぶ人はいなくなっているのではないだろうか。現在でも米国の大学に進学する人は多いだろうが、言葉・習慣・親世代の常識の壁によってまだ多数派には至っていない。しかし、一つ前のエントリで触れた「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」で書かれているように、テクノロジーの進化によって場所・言葉の壁はますます低くなっていくし、グローバル化によって労働の場は嫌でも世界に広がっていく。

 そうした状況で日本の大学、更には高校以下の教育機関は生き残ることが出来るのだろうか―今のままでは難しいだろうし、リカバリーするにも本書でわかるように大きな差がついてしまっている。日本再生の鍵はリフレよりも教育のレベルアップだと思うのだが、かなり絶望的な状況だ。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)

他のBlogの反応はこちら。
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/52017832.html
http://d.hatena.ne.jp/travelbookcafe/20120705/1341458167
http://blog.tokuriki.com/2012/08/post_707.html
http://honyonderu.blog28.fc2.com/blog-entry-2675.html
http://d.hatena.ne.jp/h6takahashi/20121210/1355193963
http://wilddrake.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

そして、私が前作を読んだ時のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2011-01-10
前作の時も、大学教育の質について触れている。私の関心が教育にあるからだろうが、日米の差は縮まるどころか広がっているようにしか見えない。もはや大学では手遅れで、その前も危なくなっているのかもしれない……。






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