SSブログ

貧乏人は早死する:ステータス症候群―社会格差という病 [社会]


ステータス症候群―社会格差という病

ステータス症候群―社会格差という病

  • 作者: マイケル マーモット
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本



下層階級の人は早死する。
こんな結論を科学的調査によって導き出した本書。本書の内容は非常に衝撃的であるが、文字通り人生を長く楽しむためには本書に書かれている内容は抑えておくべきだ。



【目次】
1章 持てる者、持たざる者
2章 生活習慣が犯人か
3章 「貧しき」を豊かにする
4章 「相対的」とは何か
5章 誰に責任があるのか
6章 ホーム・アローン
7章 互いを信ずる
8章 ロシアの消えた男たち
9章 親たちの苦悩
10章 道徳的義務と結論


本書は英国の公務員を対象に、職務階級と寿命・健康について大規模な調査を実施した結果から、社会階級が上位の者ほど健康で長生きし、下層の人は早死するという結論を導いている
先進国英国の公務員なので、最下層の人でも貧困とは程遠く生きていくには十分の賃金をもらっているし、上位層の人でも(所詮は公務員だから)大富豪のようにゆとりのある生活を送れるわけではない。すべてが中流階級に収まる人々なのだが、職位によって歴然と寿命に差が付いているのだ。

これは英国特有の事情ではなく、米国・北欧・東欧そして日本を対象とした調査でも同じ結果が出ている。加えて、健康が社会階級に影響するのではなく、社会階級が健康に影響するという因果関係も明確にしている。つまり、社会的階級が低い人々は早死するというのは人間であるからには避ける事が出来ない事実だといえるだろう。

また、本書では、健康を害する原因となる「社会階級が低い」という定義も考察されている。
社会的に尊敬されるが所得の低い職業が「低い社会的地位」なのか?それとも、多くの人から賤業と考えられている職業は収入の多寡にかかわらず「低い社会的地位」なのか?結論を言えば、どちらも寿命に悪影響をおよぼすのだが、こうした細かいところまでしっかりと検討されているところには好感が持てる。

本書の結論を見ると、出世の見込みがなくなったけど生活のために会社にしがみつく。というのは命を削る行為であることがよく分かる。満足感とか、たった一回の人生だから面白いことをすべきと言った青臭い理想論ではなく、命のためにどう社会生活を過ごすのか。
本書を読んでじっくりと考えて欲しい。

非常に興味深い内容が出ている本書。これからの自分の人生を考えるにあたって、読む価値のある一冊だ。願わくば、付録でもいいから元データをつけてくれるとなお良かったのだが……。

☆☆☆☆★(☆4つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20111227/1324978722

格差社会を批判する人は、これぐらい意味があって面白い批判をしてくれればいいのに……。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。