学問的に考えることで見えてくるものも有る:夜の経済学 [社会]
このエントリで触れた「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」の内容をより緻密化し、このエントリに有る豊富なデータを経済学的な視点で解析した一冊。
正直、社会への影響が大きい分野ではないのだが、それが故に研究が遅れているのも事実。夜の世界(フーゾク、売春など)にまつわる数字を理解するのには非常に有用な一冊だ。
【目次】
1章
フーゾク業界を経済分析
フーゾク業界の経済規模3.5兆円以上
日本人女性の3.6~5.4%がフーゾク経験あり
フーゾクの平均単価の地域間のばらつきは7.8% etc.
2章
個人売春(ワリキリ)を市場分析
ワリキリ価格はその地域のファーストフード店の時給の20~25倍
ハメ撮り・ナマ・自宅などリスクを受け入れる要因
この4年間で売春の平均価格は1割前後も低下 etc.
3章
夜のマーケットの需要と供給
地域間のばらつき フーゾク価格<地域間経済格差<ワリキリ価格
フーゾク顧客とワリキリ顧客の違い etc.
4章
「幸福な若者たち」って誰のこと?
生きづらい!? 偏差値60以上70未満女子
「希望」があると幸せな若者たち
東大女子最強説 etc.
5章
ニッポン社会的排除白書
生活保護受給者に「就職・仕事用のスーツが必要」と答える人 37.2%
〈外国人犯罪〉率25.9%と答える、日本人の寛容度 etc.
6章
流言とデマの経済学
需給ギャップをニセ情報が埋める
被災地に多かった地震兵器、地震再来流言
日本の情報教育を憂う政治家49% etc.
7章
アダルトメディアの夜明け
メガアップロード摘発からア動ブ、東スポ、MAN-ZOKU、TENGAまで
荻上チキ×飯田泰之SPECIAL対談 「ここから議論の応酬を」
本書はその手の情報に強い「SPA! 」の連載を元に書かれた一冊。
そのため、データの揃いにくい分野の割には頑張ってデータを収集している印象だ。
特に第2章の個人売春については、広告も出ていない・おおっぴらに語られることもない分野をアンケートによってうまく補い、より実態に近い数値をうまく導き出している。
そして本書を読むと下世話な興味(高いお金を取る風俗嬢はどのぐらい稼ぐのか?)よりも、社会福祉の不十分さに不安を感じるようになる。つまり、社会的な意識を向上させる内容になっているのだ。
バカバカしくてあっという間に読むことが出来る割に、案外深い内容。これが本書の評価になるだろう。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のBlogの反応はこちら。
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