人事部の考えるこれからの人事制度:非情の常時リストラ [社会]
タイトルには「リストラ」と入ってるが、リストラのストーリーというよりも大手企業の目指す人事戦略のインタビュー集という感じ。
所謂会社勤めの経験が殆ど無い筆者にしては非常によく取材していて、大企業の人事が目指しているおおまかな方向がよく分かる。
【目次】
第1章 「常時リストラ」時代に突入
リストラに終わりはない
密かに進む常時リストラ ほか
第2章 学歴はどこまで有効か
崩壊した「新卒一括採用方式」
それでも学歴重視の企業 ほか
第3章 富裕社員と貧困社員
下がり続ける給与
なぜ給与は増えないのか? ほか
第4章 選別される社員
深刻なポスト不足
激増する“無役社員” ほか
第5章 解雇規制緩和への流れ
四〇歳定年説の不気味な予兆
人事担当者たちの反応 ほか
タイトルに有る「常時リストラ」は結果にすぎない。
バブル崩壊以降、日本企業を悩ませ続けたのは給与が高い割に仕事ができない高齢社員の扱いだ。
激しいリストラによって、一時期よりははるかにマシになっている。だが、仕事ができない社員がいなくなることはありえないので、降格・解雇の必要は常に存在する。
その状態を筆者が表した言葉が「常時リストラ」なのだ。
そもそも、日本の労働法は解雇が非常に難しい。
一旦雇った社員を雇用し続ける前提の法律のもとで会社に利益を出すにはどうするか?これが日本企業の人事部に課された大きな宿題になっているのが現実だ。
一昔前は、社内教育・(出向を含む)配置転換がその答だった。だが、日本が競争力を失うに従って、そんなマイルドなやり方は通用しなくなっている。そのため、減給・解雇が新しい解決策として注目されているのが現在の状況なのだ。
この辺りの事情を、人事担当者へのインタビューという形で本書はうまくまとめている。
本書は人事制度におけるこれまでとこれからがよく分かるいい新書だ。
☆☆☆☆(☆四つ)
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