国と世界的ビジネス組織の争い:メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱 [社会]
メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱
- 作者: ヨアン グリロ
- 出版社/メーカー: 現代企画室
- 発売日: 2014/03/07
- メディア: 単行本
このエントリで紹介した「100年予測」では21正規の覇者として描かれていた国、メキシコ。
だが、現実は北米大陸に影響力を及ぼすどころか、犯罪組織によって国家の存続自体が危ぶまれるような自体に陥ってしまっている。
【目次】
ゴースト―イントロダグション
1 歴史
ケシ―麻薬生産の黎明期
ヒッピー―第一次麻薬ブーム
カルテル―メキシコ麻薬組織の形成 ほか
2 内臓
運び屋―麻薬密輸とマネー・ロンダリング
殺し屋―殺人という仕事
文化―マフィアの音楽・映画 ほか
3 運命
捜査―スパイと裏切り
拡大―国際化する組織犯罪
多様化―犯罪の多角化 ほか
日本人にとって南米の麻薬マフィアとして有名なのはコロンビア。
「不夜城」時代の馳星周の小説にはコロンビアの麻薬マフィアが当たり前のように登場していた。
だが、現実的にはコロンビアマフィアは単なる生産者の位置づけになってしまい、北米の麻薬利権を手にしたのは流通を握ったメキシコマフィアである。
まるで、大手家電量販店が電機メーカーよりも強くなったように、流通を把握したメキシコマフィアは南米で最大の麻薬マフィアとしての地位を確立したのだ。
とは言え、単なる犯罪組織はどこの国にも存在するのだし、麻薬で不正に金儲けをするだけならどうということもないのだが、メキシコマフィアは現役の軍人をスカウトして、私設の軍隊を持つに至っている。
さらに、兵器として単なる拳銃だけではなく、カラシニコフ・迫撃砲・手榴弾など軍隊の武器を持つようになっている。
そして、その恵まれた武器弾薬で警察は言うに及ばず、軍隊に対してまで戦いを挑んでくる。
マフィアは思想に基づかずに人殺しをしているので国際的な”内戦”とは定義されていないが、実態としては国の権力が及ばない地域が拡大しており、内戦状態と言って差し支えない自体に陥ってしまっている。
本書を読めば、メキシコの置かれた惨状が非常によく分かる。
命をかけてメキシコの問題をレポートする筆者のジャーナリスト魂が伝わってくる一冊だ。
☆☆☆☆★(☆4つ半)
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