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親を無視して子どもを救うには?:チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~ [社会]


チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~

チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~

  • 作者: 新井直之(NHKディレクター)
  • 出版社/メーカー: ティー・オーエンタテインメント
  • 発売日: 2014/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



子どもの貧困に対するルポ。
私は基本的に自己責任を重視する考え方をするのだが、本書で出てくるような子どもに対しては公的な支援が不可欠だと思うし、それ以外の解決策も考えつかない。

【目次】
第1章 「子どもの貧困」対策の最前線―NPOによる生活保護世帯向け学習支援
第2章 奪われる日常生活―車上生活を強いられた中学生
第3章 いつまでも自立できない―母親を失ってひきこもった19歳
第4章 貧困から抜け出せない―ホームレスだった25歳
第5章 学校現場の限界―教員へのアンケートから
第6章 始まった教育と福祉の連携―スクールソーシャルワーカーの取り組み


本書で出てくるのは、教育を受けることができなかった子どもたち
親が借金で夜逃げをしていたり、親が死んだショックで引きこもっていたり、離婚などが原因で金銭危機に陥りまともな教育を受けることができなかったりした子どもたちだ。

外部から覚めた目で見れば、教育は貧困から抜け出すための費用対効果が高い投資だし、本書で出てくる親はやり方が非効率で子どもの教育を十分に受けさせられていない面は存在する。
だが、親の能力不足やいい加減な生き方で子どもが被害を受けて当然という議論には誰も賛成しないはずだ。能力・意識に欠ける親のもとに生まれても、教育は受けられるようにするのが近代国家としての最低限のあり方で有るはずだ。

現状は、本書に出てくるように親が子どもに教育を受けさせる環境を整えることができないと、子どもは教育という最大の武器を授かることができないまま社会に放り出されてしまう。
親が子どもに対して行使できる監督権が強すぎるために、外部から子どもに給付・補助を行うことが難しいことがよく分かる。

本書は教育から阻害された子どもの状況を非常によく捉えているが、問題も有る。
本書では子どもの貧困・教育からの阻害といった問題に対する解決策として、ソーシャルワーカーを活用することを勧めているが、相談にのるしかできないソーシャルワーカーでは強制力が弱く、普及させようとするとお金がかかる割に救えない人が多く残ってしまう。
むしろ、大企業とタイアップして、子どもを働かせつつ(成人擬制のようなスキームを作った上で)本人に金銭と教育を支給するほうがいいのではないだろうか?
新聞奨学生は悪評高いが、社会貢献の一環として、インターンに毛の生えたような労働をやらせて支援するスキームは作るほうが良いように思える。

と、最後の解決については賛成出来ないところが多くあるものの、本書の問題発見編は非常に良く出来ている。貧困の実態に触れることが出来る一冊だ。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://mmaehara.blog56.fc2.com/blog-entry-2698.html
http://ma2373.blog.jp/archives/7281449.html
http://shinshiro.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/2013-5c6a-23.html






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