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日本がうまくいってると都合の悪い人が多いんだろうな……。:統計データが語る 日本人の大きな誤解 [社会]


統計データが語る 日本人の大きな誤解 (日経プレミアシリーズ)

統計データが語る 日本人の大きな誤解 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 本川 裕
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/11/09
  • メディア: 新書



公表されている統計データを用いて日本の真の姿を描き出す本書。
統計データの正しい読み方日本の現在の姿。両方を知ることの出来る一粒で二度美味しい新書だ。

【目次】
第1章 日本は世界一「小さな政府」――意外な日本経済の実像
 1 身近に捉える経済規模――東京のGDPは韓国に匹敵。最小の鳥取はパラグアイと同規模
 2 日本の技術力は高まっている――「失われた20年」の間にも技術立国の地歩は高まった
 対欧米の技術力依存から逆依存への継続的な傾向
 対照的な技術動向――エレクトロニクスと自動車
 特許出願件数はTOKYOがシリコンバレーを凌駕
 3 経済格差は拡大したのか――小泉改革は格差を広げたのではなく縮めた
 格差が広がっているとされた根拠データ
 家計調査データは格差縮小を示している
 上位1%の金持ちが富を独占しているか
 生活必需品を買えない貧乏人が多いか
 統計データが示す経済格差の状況
 4 誤解されている政府の大きさ――日本は世界一「小さな政府」
 公務員数規模と財政規模から見た政府の大きさ
 日本の公務員の給与水準は恵まれているか
 5 無駄な公共事業が多いというのは本当か――異常な水準に縮小した公共事業
 日本の公共事業はどこまで増えて、どこまで減ったのか
 地方の公共事業が減り、国の公共事業が維持されている

第2章 本当に仕事で多忙なのか――日本人の意外な生活実態
 1 日本はむしろ仕事のストレスの少ない国――データの表し方によって変わる仕事のストレスの大小
 日本は仕事のストレスの多い国?少ない国?
 「中ストレス型」と「両極分化型」
 2 日本人の労働な長くて辛い?――長時間労働を必ずしも辛いと感じていない日本人
 長時間労働が特徴となっている日本
 疲れを知らない日本人
 3 睡眠時間の減少は多忙のせい?――自由行動のため大きく減った睡眠時間、オシャレになった日本人女性
 「趣味・娯楽」や「身の回りの用事」の増大に伴う「睡眠」の減少
 日本の女性はどこまでキレイになるのか
 4 意外な自殺率の動き――自殺率は上昇したのではなく元来の水準に戻っただけ
 自殺は本当に増えているのか
 増加要因アプローチと減少要因アプローチ
 年齢別、男女別の自殺構造の大変貌
 なぜ男ばかりが自殺するようになったか
 日本人の自殺率は高いが「うつ」状態は多くない
 本章をまとめると

第3章 日本人は食べ過ぎではない――食と健康をめぐる誤解
 1 日本人は食べ過ぎなのか――バランスのとれた日本型食生活
 比較的少ない日本人の摂取カロリーはバブル期以降低減傾向
 日本型食生活の基本をつくったのは米食
 2 日本人は寿司が好き?――寿司好きは日本人だけではない
 地域で異なる寿司好きの程度
 曲折を経てきた「すし」の歴史
 回転寿司の影響
 日本食による世界への貢献
 3 日本人は食品の品質に厳しい?――案外、食の安全に無頓着な日本人
 4 日本の医療費は高い?――現実にはコストパフォーマンスのきわめて高い日本の医療
 5 ダイエットはそん なに必要?――世界の中でも痩せている日本人

第4章 日本はいまだに儒教国――日本人の価値観と幸福度
 1 控えめであいまいなのは日本人の弱点か?――はっきりさせない見方には強みも
 あなたは自分の父親を超えられたか
 謙虚過ぎる日本人
 神は存在するか?
 あいまいな日本人(中間的回答の多さ)
 2 日本人の倫理的態度の特徴――死に対するもともとの許容度の高さ
 同性愛への許容度が高くなった日本人
 倫理的態度の国際比較
 日本人の独特な死生観
 3 熱血先生だから言うことを聞く?――教育現場に残る儒教の影
 4 女は女に生まれたい――「おとこ社会」の虚妄に囚われてるのは男だけ
 生まれ変わるとすれば男?女?
 他にも目立つ男女の逆転現象
 日本の幸福度の男女格差は他の東アジア諸国と同様に大きい

第5章 なぜ誤解が広がるのか――統計データの正しい使い方
 1 データの誤用や欠落が誤解を生む――誤解が広がる技術的な要因
 データの誤用が誤解を生む
 統計学上の知識があった方が誤用を避けやすいケース
 データの不在や見落とし・無視が誤解を温存する
 2 思い込み自体が誤解を生む――誤解が広がる心理的・社会的な要因
 他殺の半減に誰も注目しないわけは?
 常に悪化していると意識されがちな景気
 思い込みや畏れによる誤解
 なぜ公表されるデータの偏りから誤解が生じるのか

エピローグ
真実は役に立つか
不都合な真実は明かすべきなのか?


本書で語られている、日本の真の姿は非常に興味深い。

例えば、日本は世界でもトップクラスの小さな政府で、行政の効率性は極めて高い。とか、労働時間は長めではあるが、ストレスや肉体的な疲労にはつながっておらず、自殺についても長時間労働が直接の原因ではないことが多い
と言ったあたりは、現在のマスコミ報道・政府政策とは真逆の「真実」であり、その真実が世間に知れると都合がわるい人がいっぱいいると思われる。

マスコミ報道にしても、政府発表にしても、発表する側は何らかの意図を持っており、その意図にふさわしいデータを出してくる。
そうした時に、正しくデータを読み解いて、真実の姿を見ぬくことが出来るかどうか
本書が問うているのはそうした力の有無だろう。

本書をざっと眺めるだけでも、マスコミ報道からは知ることのできない日本人の真の姿に触れることができるし、本書で書かれている内容を理解すれば、統計データについて(調査方法やサンプル数を調べるといった行動で)ごまかされてしまうリスクを格段に減らすことが出来る。

大流行するような内容があるわけではないが、読んでみると意外に骨太で力になる一冊だ。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-01-21
http://takekura.exblog.jp/22397019
http://30932531.at.webry.info/201403/article_2.html
http://derkomai.blog41.fc2.com/blog-entry-178.html






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