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規制緩和で新たな産業を作ることができそう。:日本の風俗嬢 [社会]


日本の風俗嬢 (新潮新書 581)

日本の風俗嬢 (新潮新書 581)

  • 作者: 中村淳彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/08/09
  • メディア: 新書



日本の風俗産業で働く人についての本。
一般人ではなかなか知ることのできないグレーな産業と、そこで働く人、さらにそうした産業の現状が非常によくわかり、考えさせられることの多い一冊だ。

【目次】
第一章 性風俗の現在
 1 風俗嬢と売春婦は別物なのか
 2 誰がいつ逮捕されるのか
 3 日本に性風俗店は何店舗あるのか
 4 現在どのような風俗店が存在するか
 5 裏風俗とはどんなものか
 6 サービスはどこに行き着いたのか

第二章 ビジネスとしてのデリヘル経営
 1 デリヘルは儲かるのか
 2 暴力団との関係はどうなっているか
 3 どんな客が迷惑か
 4 警察との癒着はあるのか

第三章 激増する一般女性たち
 1 日本に風俗嬢は何人いるのか
 2 女子大生はなぜ風俗嬢を目指すのか
 3 なぜ介護職員は風俗に転職するのか
 4 なぜ「狭き門」になってきたのか

第四章 風俗嬢の資格と収入
 1 主婦はなぜ一線を越えたのか
 2 女性たちのレベルはなぜ向上したか
 3 実際にどのくらい稼げるのか
 4 人材はどう育成されているか
 5 個人売春はワリにあうか

第五章 スカウト会社とスカウトマン
 1 スカウト会社とは何か
 2 スカウトマンは気楽な稼業か

第六章 性風俗が「普通の仕事」になる日
 1 性風俗は普通の仕事になるか
 2 風俗嬢の意識の変化をどう見るか
 3 安心して働ける職場になるのか


本書で語られる現在の風俗産業、風俗嬢の現状は非常に衝撃的だ。
希望者が多く集まって来るため、通常レベルの女性ではもはや採用されることも困難。
現代の日本は様々な事情が重なった結果、若い女性が体を売りたくても売れないという、歴史上非常に珍しい時代になっている。

そんな時代であるから、風俗でお金を稼ぐことも非常に難しくなっている。
コミュニケーション力が高い、見た目が非常に美しい、自己ブランディングが優れているなどの事情がなければ、サラリーマン並みにしか稼げない。
(さらに、地方だとそこまでも稼げず、本業としては生活が成り立たない)
というレベルにまで供給過多になってしまっている。

本書で語られる風俗業界の現状は供給過多のチキンレース状態になっており、経営者・労働者ともにまともに稼げるような状況ではなくなっている。

ただ、このような状態になってしまっているのは法律の制約によってで、一般企業と同じようなプロモーションや需要の掘り起こしができていないことが大きい。
手元のリソースが充実しているのに、そのリソースを活用する場を制限されているため、同じような店が乱立して価格競争に陥ってしまっているのが現状だ。

この業界に積極的に関わると一定層の反発を受けるので、立法側からの積極的な改善は難しいのだろうけど、法律を変えて企業努力の範囲を大きくしていけば、新たな産業が立ち上がりそうな予感は本書を読んだ限りではビンビンと感じられる。

是非、この業界の健全化とともに、サービス業としてGDP拡大に貢献するような施策を打って欲しい。
ただ単に、風紀を乱すだけではなく、従業員が幸せになれる法改正は可能なはずだ。

☆☆☆☆(☆四つ)

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