地方経済にもチャンスあり:地方消滅 創生戦略篇 [社会]
「地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減」で話題を集めた建設官僚出身で元岩手県知事の増田寛也と産業再生機構で名を馳せた冨山和彦の対談集。
私はコンサルタントの中では冨山和彦の書く本は大好きなので、本書も非常に楽しく読むことが出来た。地方の衰退を前提にしながら、その中にでも希望を見出している構成が非常に良い一冊だ。
【目次】
第1章 消滅危機の実態とチャンス
経済が衰退しながら人手不足
陳情からイノベーション
地方消滅は不都合な真実 ほか
第2章 L型大学から地方政治まで―地域のために何ができるか?
ブラック企業を取り締まる
日本の最低賃金は低すぎる
うかつに新産業に飛びつかない ほか
第3章 地方発イノベーションの時代
福島は人口流出している?
データに基づくということ
福島発のイノベーション ほか
本書の前提になっているのは日本の人口減に伴う、地方における急激な生産年齢人口の減少。
これは「地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減」で増田寛也が書いている内容そのものであり、この認識が共通の大前提となっている。
それでは地方に希望がないのか?
という問いに対する回答が本書。
回答から言えば、生産年齢現象下の地方経済においても十分に発展の余地はある。
現在の広く薄い人口分布を改め、補助金漬けのゾンビ企業やブラック企業を駆逐して、生産性向上を図ることのできる普通のビジネスマンを呼び込めば十分に成功できる余地があり、地方経済復活のアウトラインまでもが示されている。
産業再生機構で活躍し、地方経済にも詳しい冨山和彦の本領が発揮されている部分だ。
本書を見れば、人口が減少しようとも地方には十分なチャンスが眠っていることがよく分かる。
対談本というとテープ起こしのような内容が多くてあまり面白くないのだが、本書は二人の個性と持論がうまく咬み合っており、非常に面白い本に仕上がっている。
☆☆☆☆(☆4つ)
ただ、本書でも語られているのだが、地方の生き残りには最大のネックが一つある。
それは”人”。
悲しいかなまともなビジネスができる人材は東京に集まっており、地方は極端な人材不足になっている。特に、政治家・地方公務員のレベル低下は致命的で地方復活の妨げになってしまっている。
増田寛也にその辺りの内実を語らせていれば100点だったといえる。
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