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地価下落を止めるのは、地域にコミットする人の数と能力。:地価下落時代に資産を守る! [社会]


地価下落時代に資産を守る! (ベスト新書)

地価下落時代に資産を守る! (ベスト新書)

  • 作者: 三浦 展
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2015/01/24
  • メディア: 新書



三浦展の対談集。対談の相手は、
・大野秀敏(建築家、東大教授)
・東浦亮典(東急電鉄 都市開発事業本部 企画開発部 統括部長)
・松本吉彦(旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所 所長)
・内山博文(リビタ 常務取締役)※リノベーションの会社
・青木純(メゾン青樹代表取締役)
このように、三浦展が選ぶ、不動産価値の維持に一役買っている人々が勢揃い。

筆者の数値分析はイマイチなのだが、本書のように思いを語らせたり、グランドデザインを描くような内容は非常に面白い。
そういう意味で、本書は筆者のいい持ち味が出せている本であるといえる。

【目次】
序章人口減少時代に住宅(地)の価値をどう維持・向上するか
第1章 都市のしくみをどう変えるべきか
第2章 郊外ニュータウンの今後をどうすべきか
第3章 郊外住宅と二世帯住宅によって活力ある家族と地域をつくる
第4章 中古住宅をリノベーションで価値向上
第5章 「オーダーメイド賃貸」で幸せ創造


本書の対談はそれぞれに興味深い内容なのだが、
私が特に面白いと思えたのは第2章の東急電鉄の都市開発部門の人との対談。

テーマとしては昔(高度成長期)に開発して分譲した城南の宅地の高齢化を食い止め、街としての機能を維持するにはどうすれば良いか?と言うもの。
開発した当時は人気の要素だった高台の住居専用地域であることが裏目に出て、利便性が高まらず、高齢化とともに高低差のある地形が不便になって、人気が落ちていっている。と言う背景だ。
匿名掲示板で豊洲に代表される湾岸地域を非難して、昔ながらの住宅街を擁護する人は多いが、現実は湾岸地域に溢れているものを持たない住宅地が衰退していっている厳しい現実がここには存在している。

そうした背景に対して、東急電鉄はデベロッパーとして、行政である横浜市やNPO団体などとも連携しながら街の活性化に取り組んでおり、その取組が紹介されている。
東急電鉄はさすがのクオリティで非常に優秀な構想を作っていることはわかるのだが、それでも前途が明るいとは言いがたい面もある。
住民を取り込んだ取り組みがなされているのだが、住民発の取り組みがバイオマス発電だったり、太陽光発電だったりして、ビジネスとしては成り立ちそうもない補助金か趣味の世界にすぎないのが不安を煽るのだ。

高齢化を食い止めるのは高齢化してしまった住民では難しいことが非常によく分かる内容となってしまっている。

第二章だけでも上記のように読み応えは十分。
他の章で出てくる人々が語る内容もそれぞれに非常に面白く仕上がっている。

☆☆☆☆(☆4つ)






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