鬱病から回復した芥川賞作家:冬の水練 [エッセイ他]
芥川賞作家の南木佳士が、パニック障害から発展した鬱病から回復した後に書いたエッセイ集。
鬱病からの回復直後なので、若干重たい記述も見られるが、基本的には短く、読みやすいエッセイである。
小学校受験は親の受験:横森理香のお受験突撃!! [エッセイ他]
普通のことを面白く書くのがうまい:さるのこしかけ [エッセイ他]
単なる低質なエッセイ:若者はなぜ正社員になれないのか [エッセイ他]
カッシーノ! [エッセイ他]
蒼穹の昴(1) (講談社文庫) はとても大好き(少なくとも「凍える牙」とは比べ物にならないほど、エンターテイメントとして面白い)だけど、 鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫) は狙いすぎに思われて全然楽しめなかった私ですが、本作を読んだ時に、最初のモナコのエピソードではこれは久々に爽快な文章が楽しめると思って、読み進めていきました。
しかし、進めども進めども最初のモナコのくだりを超える面白さを持ったエピソードは存在せず、結局作者の主張も、エンターテイメントとしての要素も中途半端に終わってしまった印象です。
私の楽しめなかった理由のひとつは作者の日本人に関する考察が的外れに思えること。
おそらく団塊の世代が読むと、しっくり来るのでしょうが、昭和50年代前半生まれの私には、時代錯誤の印象がぬぐえませんでした。
かといって、フィクションとして見せている部分の度合いは薄いのでエンターテイメントとしての楽しみもいまいちです。 やはりこの作者は小説でこそ生きる作者だと感じずにはいられません。
☆★(☆ひとつ半)
余談ですが、作者のギャンブルに対する持論も的外れに思えます。投資、マネーの本を多く読む私にしてみれば、作者の言うようにギャンブルは才能として捕らえるより、確率論として捕らえるほうが自然に思われます。